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ホッスー・カティンカが涙した理由

      2015/08/19

まじゃるです

世界水泳女子200m個人メドレー、
優勝したホッスー・カティンカを讃える記事が、次々とでています。
まとめてみました。
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圧倒的な強さで、200m個人メドレーを制したホッスー・カティンカですが、
レース直後の映像をみると、彼女が泣いているのが分かります。
絶対的な優勝候補で、勝つのは当たり前だったのに、なぜ?

それは、
「世界記録を更新できたから」
なのです。

彼女はレース後、こうコメントしています。

「ボードで自分の名前とタイムを確認したときには、
WRの文字はでていなかったので、
新記録は出せなかったか、と思ったのですが、
その後で、タイムの小数部分が12なのに気づいて、
それで、本当に涙が止まりませんでした。」

実際、これはものすごい偉業なのです。
この種目のこれまでの世界記録は、
2009年にオーストラリアの選手が出した、2:06.15 でした。
6年前の記録ですね。

実はこの記録、
あの2008年北京オリンピックで話題/問題になった、
「レーザー・レーサー」の着用で出されたものなのです。
北京オリンピックで、世界記録やオリンピック記録が相次いで更新されたのは、
この水着の影響なのです。

ハンガリーの記事によると、
このような水着を使うと、50mごとに0.5~0.7秒の短縮が見込まれるとのこと。
http://www.origo.hu/sport/uszas/20150804-hosszu-katinka-elott-ot-magyar-uszo-ert-el-vilagcsucsot-az-elmult-30-evben.html
(なぜか「鮫肌水着」という単語を使っていますが、
これは「レーザー・レーサー」とは別物です。
まあ、「高速水着」の意味だと思いますが。。。)

実際、世界水泳連盟がこの水着を禁止した2010年から、
水泳の世界新記録が出ることはほとんどなくなりました。

彼女の個人記録も、
2009年に、ローマで、2:07.46を記録した後は、
世界記録に届く範囲から遠ざかっていました
2012年 ロンドン: 2:14.19
2013年 バルセロナ: 2:07.92
2014年 ベルリン: 2:08.11

でも、この大会の彼女は違いました
予選で2:07.30のヨーロッパ新記録をだし、
準決勝は、この自身の記録を2:06.84で更新。
専門家が、更新には数十年かかるだろうという世界記録を
ついに視野にとらえたのです。

このため、予選1位のタイムを出していた100m背泳ぎを棄権。
全力で200m個人メドレーにあたる決心をします。

そして、あの決勝の彼女の泳ぎ。

彼女はレース後に、こうコメントしています。

「最後の25mも、覚えているのは苦しかったことだけ。
スタートから175mについては、記憶がありません。
でも、これはレースに集中し、他の雑念が入ってこなかったいうことで、
むしろ良かったと思います。
最後は本当に、何とかゴールにたどり着こうと。」

「今は夢がかなって本当に幸せです。
私にとって世界記録は、オリンピック金メダルより価値のあることです。
私より速く泳いだ人は誰もいない、ということを意味しているのですから。」
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ホッスー・カティンカさん、あらためて、おめでとうございます!

まじゃるでした。

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