こちら、ハンガリー情報局

新鮮な情報を、現地から

*

なぜ、移民の人々はドイツを目指すのか?

   

まじゃるです。

来週、ハンガリーが難民入国手続きの方針を転換することで、大騒ぎになるのではと、まじゃるは見ています。来週はそのニュースを追うので手一杯になると思うので、今のうちに基本的なところを見直しておきたいと思います。


 

なぜ、移民の人々はドイツを目指すの?

それは、ドイツで難民申請し、難民に認定してもらいたいからです。

ドイツでは、難民申請の審査中、仮宿舎と食事、医療サービスが保証され、しかも月に143ユーロの小遣いももらえるのです。(ちなみにハンガリーだと7,125フォリント(=23ユーロ)です)*1

さらに難民に認定され、「難民」というステータスを貰うと、その国の国民とほぼ同様の待遇になります。(例えば、生活保護の受給権利なども発生します。)生活レベルは高く、職も見つけやすいとくれば、彼らがドイツを目指すのは理解できます。

 

難民の人々は、ハンガリーまでの途中国で、難民申請しないの?しなくてもいいの?

難民の人々の立場から見ると、難民申請は1カ国のみに提出できると考えられていますので、人々はドイツに辿り着くまでは、難民申請したくないのです。

一方、バルカンルートの各国を見てみると、まずギリシャは、難民に対応する余裕はありません。ギリシャを除く国は、難民申請を出させるより、通過してもらう方針を採っています。難民を受け入れるのは、国の負担になるからですね。このため、トルコ・ギリシャ間は密入国ブローカーが黙認され、マケドニアやセルビア国内の移動は、政府が臨時列車やバスを手配しているようです。

というわけで、難民申請せずにハンガリーまで辿り着く人がほとんどのようです。

 

ハンガリーは、難民申請せずに通過してはいけないの?

原則的には、難民申請なしで入国・通過はできません。理由は2つあります。

1.シェンゲン圏への入国管理

セルビアからハンガリーに入るというのは、シェンゲン圏の国境を越えることを意味します。シェンゲン圏内での移動が自由化されているぶん、圏内へ入る人間のチェックは厳しくしなければなりません。

外国人が入国する場合、普通はビザを取得しなければなりませんが、難民の場合は、ビザ無しでも入国が認められます。ただし、速やかに難民申請を行うことが条件になります。申請しなければ、不法滞在として取り扱わざるをえないのです。

 

2.ダブリン規則による、難民申請の審査義務

シェンゲン協定の関連規則の中に、ダブリン規則というものがあります。これは難民申請の審査国を規定するもので、「申請者が最初にシェンゲン圏に入った国が審査を行わなければならない、たとえ他の国で申請が提出されても、申請者を最初の入圏国へ送還できる」と定められています。

難民申請者は、申請を提出した国内に滞在し、審査終了を待たなければなりません。国外に出るなどして連絡が取れなくなった場合は、審査が中止され、それは滞在理由が無効になることを意味するので、取扱い上は不法滞在となります。

 

でも最近、大勢の移民の人々が、ハンガリーからオーストリア、そしてドイツへと移動してるけど?

それは、例外的措置として、移民の移動を認めることが3カ国間で合意されているためです。もちろん一時的なものですので、この措置がいつ終了するかはわかりません。

 


 

 

以上、まじゃるでした。

 

 


*1 http://www.origo.hu/nagyvilag/20150814-kevesebb-koltopenzt-kapnanak-a-menekultek.html

 

 - まとめ, 考察 ,