今年の難民申請数12万件、難民認定は82件
まじゃるです。
ハンガリーは4連休で、報道機関も夏休みモードみたいなので、ここで今週のハンガリーの難民関連ニュースをまとめてみます。
HIRADO.HUおよびindex.huによると、今年初から8月中旬までの難民申請数は、約12万3千件で、これは去年の総数の3倍に当たります。
また8月19日時点で、この12万3千件のうち、
・難民と認定されたのは82件
・難民認定は不可だが、庇護が必要と認定されたケース(準難民)が206件
・送還禁止の原則による特別滞在許可が4件
・却下が2,225件
・申請者がハンガリー国外に出たため審査が中止されたのが63,255件
となっているそうです。(残りは、審査手続き中ということでしょう)
1~2月は、コソボからが多数を占めていましたが、その後、シリア、アフガニスタン、パキスタン、イラクからの人々が増えたとのこと。
フェンス設置したものの、不法入国者の数自体は減らず
ハンガリー・セルビア国境175kmのうち、110kmに鉄条網による一時的なフェンスが設置済みですが、セルビアとの国境を抱えるチョングラード県の警察の発表を見ると、金曜日1日で1500人の身柄が拘束されたようで、これを見ると不法に国境を越える人々の数は減っていないようです。ただフェンスの影響で、今まで徒歩での入国が主だったところ、今ではハンガリー人の入国幇助者が車で入国させているようです。
別の記事によると、約1割の人が鉄条網に寝袋などをかけて突破を試みるそうですが、すぐに赤外線カメラによって発見されてしまうようです。
クロアチアも、セルビア国境を警戒
クロアチアの内務相がテレビ番組で、ハンガリーがセルビア国境に設置したフェンスの影響で、移民のルートがクロアチア経由になることを予想し、それを防ぐために、国境の警備を増強する発言をしています。なお、セルビア・クロアチア両国間には、相手国から移民が入った場合は、その国に送還できるという協定がある旨の発言もあった模様。(ソース)
ブダペストのトランジットゾーンは満員
ブダペストの鉄道各駅(東駅・南駅・西駅)には、移民が食事や医療サービスなどを受けることができるトランジットゾーンが、8月に設置されています。これは、駅周辺にたむろしていた移民の場所を区切って、市民の生活への影響を下げることを目的としています。しかしこのゾーンも数百人の移民によって満員状態となり、ゾーンの外で休息する人も出てきています。市民や観光客もあまりいい目では見ていないようです。ボランティアにより、各言語で難民キャンプへ向かうように説明がされていますが、移民たちは、なんとか西側諸国へたどり着くためにチャンスをうかがっていると見られます。およそ数日でどんどん人が入れ替わっていくそうです。(ソース)
一時的な移民キャンプを37億フォリント(約16億5千万円)で設営
ハンガリー政府内務省は、1000人収容可能な移民キャンプを、ハンガリー国内2箇所に設営すると発表しています。予算は、1ヶ所あたり18~19億フォリントで、合計37億フォリント(約16億5千万円)、完成は秋の予定です。キャンプ設営予定地のある自治体との交渉を避けるため、国の所有する土地を使用するようです。(ソース)
難民キャンプに滞在する子供にも学校が必要だが・・・
入国管理局のデータによれば、難民キャンプには約200人の子供がおり、9月には彼らのための学校や幼稚園を準備しなければなりません。しかし、ハンガリー人材省の公教育局によれば、難民キャンプで母語が別々の子どもたちの教育を行うための条件が揃っていないため、子どもたちは現地の学校でハンガリー語の教育を提供することになるらしいです。ただ、移民向けの教育方針がない、移民を教育できる先生も足りない、という指摘もあります。
ちなみに、今年難民申請をした人たちのうち、保護者のいない未成年者は6,529人。これら未成年者には、児童保護施設を用意し、後見人をおかなければならないのですが、こちらの面でもハンガリーにはこれだけのだけの人数を受け入れる準備がなく、また通訳を手配するのも難しい模様。ただ、せっかく保護施設に入れても、10日もしないうちに施設を抜けだして、いなくなってしまうのも事実のようです。(ソース)
「移民は敵ではない、しかし重荷ではある」
首相府長官のラーザール・ヤーノシュ氏は、8月20日の演説で、「南や東から、不法にハンガリーに入国し、ヨーロッパを目指す移民は、敵ではない、しかし重荷ではある。」と発言しています。
ラーザール氏の見解によれば、
「移民を受け入れることは、国家安全上(テロリストなど)、公共安全上(財産犯など)、そして生活維持上(貧困層の増大)の3つのリスクを意味するのであり、このリスクを負うことは、ハンガリーもヨーロッパもできない。よって移民はストップさせなければならない。」
「『ヨーロッパに行けば、働かなくてもよい、秩序を保たなくてもよい、別の世界に移り住めば十分だ』と考えられていることが、多くの移民がヨーロッパを目指す真因なのであり、我々は毅然とした態度で『ヨーロッパには何百万人もの移民を受け入れる場所もお金も無い』という真実を主張しなければならない」
「国を出て移民になるのが防げないのであれば、ヨーロッパへの国境で彼らを止めなければならない。すなわちギリシャやイタリアの海岸、そしてハンガリーの国境で。」
「これと平行して、既にこの国で難民として生きている人々には、最低限の生活ができるような対応が必要である。」
(ソース)
考えさせられることが多いですね。。。
まじゃるでした。