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なぜハンガリーは移民のドイツ行きを許さない?

   

まじゃるです。

9月2日、ブダペスト東駅は、移民によるデモがあり大混乱となりました。

今週月曜日8月31日の1日だけ、警察がホームへの入構制限が解かれたため、不法入国者も国際列車に乗ることができ、彼らはハンガリーを脱出したのですが、火曜日には一転、朝9時には東駅から乗客も列車もシャットアウト、全員が締め出された後、移民の人々に対し再び入構制限がかかりました。このため移民たちの失望と怒りが高まり、これがデモの原因となっています。

移民の人々は、こう主張しています。「ドイツはシリアからの難民を受け入れるといっているのに、なぜ我々を行かせないのか!」

このことは、ハンガリー人も疑問に思っているはずです。なぜ東駅でデモが発生しているにもかかわらず、ハンガリーは移民が国外に出るのを押しとどめているのでしょう?

この疑問についてのある程度の答えが、ハンガリーのサイト index.hu でまとめられていたので、紹介します。*1

誤解

  • まず誤解がある。オーストリアもドイツも、移民をこちらの国に移動させろとは、ひとことも言っていない。
  • ドイツが宣言したのは、「シリア人を送還することはしない」ということだが、これは既にドイツ国内に滞在しているシリア人が対象であり、ドイツを目指して移動しているシリア人に発せられたメッセージではない。しかし、これが「ドイツは移民を歓迎する」と受け取られてしまった。この誤解が混乱の一因である。
  • ドイツのメルケル首相は、ハンガリーはダブリン協定通りに行動すべきであるとコメントしている。また、オーストリアのファイマン首相は、移民がオーストリアへ向かうのを阻止しなかったことを批判している。

乗車が許可されない理由

  • 乗車が許可されないのは、端的に言えば、ダブリン協定があるため。つまり、移民が最初にシェンゲン圏に入った国で、難民申請の審査を行わなければならず、また移民の人々は、その審査結果がでるまで、その国内に留まらなければならない。ハンガリーがEU加盟国である以上、このルールを守る/守らせる義務がある。
  • ダブリン協定によれば、バルカンルートでEU圏内に入った移民は、(ハンガリーで難民に認定されるまで)合法的にドイツまで行くことはできないことになる。よって正式な書類なしでは(パスポート、ビザなど)、乗車は許可されない。
  • なお、本来はギリシャが最初の入圏国なのだが、ストラスブールの欧州人権裁判所の判決により、ギリシャには移民は送還されない。

移民の人々の行動原理

  • 上記の通り、EU各国はルール遵守を第一と考えているが、移民の人々にとっては、それはどうでもいいことである。彼らは、なんとしてでもドイツに行きたいのである。もし合法な手段がなければ、非合法でも目的を達成しようとする。
  • もう一つ認識しておくべきことは、移民の人々は、ハンガリーで難民申請をし、指紋を登録することに不安を感じているということである。つまり、ハンガリーでシステムに登録されることにより、西へ行ってもハンガリーに送還されることになると考えているのである。

 


せっかく買った切符が使えなくなり、しかも払い戻しもされないため怒っている移民の人々も多いようです。切符払い戻しぐらいの対応はした方がいいと思うんですが。。。

以上、まじゃるでした。

 


*1 http://index.hu/belfold/2015/09/02/menekult_keleti_schengen_dublin_kerelem/
(記事原文及び写真)
 

 - まとめ