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ハンガリーがクロアチア国境閉鎖

   

まじゃるです。

ハンガリーは、17日0時にクロアチアとの国境ラインを、国境検問所を除き閉鎖しました。この理由についてまとまった記事が index.hu から出ていたので紹介します*1
10月16日、クロアチア側からハンガリー国境に到着した移民の人々 写真: Balogh László / Reuters


 

ハンガリー政府の発表

ハンガリーのオルバーン首相は金曜日、国家安全委員会を招集し、クロアチア国境を17日午前0時に閉鎖することを決定しました。この閉鎖の根拠について、シーヤールトー外務・貿易大臣が記者会見で、以下の様に発表しています。

  • 15日の欧州理事会では、(ハンガリーが考える)最善の対応である、欧州の境界(=ギリシャ)における入国管理/国境警備の徹底を可能にするような決定を下すことができなかった。
  • その一方でEUは、シェンゲン協定を順守することを求めている。
  • ギリシャは、これを順守することができない。
  • それに対しハンガリーは、物理的にも(国境フェンス)人的にも準備ができており、シェンゲン協約の遵守は可能である。
  • よって、ハンガリー政府は、シェンゲン協定が定める義務を遂行するため、17日午前0時にクロアチア国境の閉鎖を決定した。
  • 国境検問所については、今後も通過可能とするが、厳格な入国管理を実施する。また難民としての庇護申請は、別に設けられたトランジットゾーン2箇所で提出可能である。
  • クロアチア大使には決定について連絡済み、さらにスロバキア、チェコ、ポーランド、スロベニア、ドイツの各国外務大臣に対しても連絡している。

EUの反応

ハンガリーのフェンス設置による国境閉鎖は、ハンガリーへの移民流入を抑えるものではあるものの、EUレベルで見た場合、移民の流れが変わるだけで、移民危機の問題解決にはならないため、EUは以前からこれを支持していません。ただし最近になって、欧州圏への入国管理・圏境警備の必要性について、EUでも議論が行われるようになっています。

フランスのオランド大統領も、欧州議会での演説で、EU圏を共同で守る必要性について触れています。

クロアチアの対応

一方、難民のEU圏への入国地となっているクロアチアは、今後の対応について明らかにしていません。今のところ、スロベニアへ移送するのではないかと言われていますが、両国間で合意があったかどうかは不明です。セルビア=クロアチア国境の状況と合わせて注視が必要です。

なおハンガリー政府は、クロアチアからスロベニアに移送された移民が、直ちにハンガリー領内に送り込まれることを警戒し、スロベニアとの国境で入国管理を行うことを決定しました*2。(本来は、両国ともシェンゲン協定加盟国であるため、出入国管理はありません)

移民の人々の動き

ハンガリーのクロアチア国境閉鎖については、クロアチア滞留中の移民の人々にも情報が入っていると考えられます。また、セルビア国境閉鎖時の状況についても伝わっているはずですので、検問所やフェンスの強行突破を試みる可能性は低いと思われます。

また、難民申請についても、安全国であるクロアチアに入国している以上、ハンガリーに申請しても却下されるのはほぼ間違いないため、申請者はほどんど出ないでしょう。

よって、今のところクロアチア政府の対応待ちになっていると考えられます。


 

以上、まじゃるでした

 


*1 http://index.hu/belfold/2015/10/16/hatarzar_orban_horvatorszag/
*2 http://index.hu/kulfold/2015/10/17/tobb_szaz_menekult_erkezett_busszal_szloveniaba/

 

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