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【鉄道正面衝突事故】ハンガリー人の安全意識

      2015/08/19

まじゃるです。

日曜日の朝に、こんなニュースが入ってきました。
ブダペスト北東を走る、単線のローカル線で、列車2両が正面衝突し、重症2人を含む19人がけが人

夕方の続報では、事故はヒューマンエラーが原因、と報道されました。この記事の内容は、以下の通りです。

交通安全局は、衝突の直接の原因は、下り列車が、行き違いに指定された駅で、上り車両を待たずに発車したために発生したと発表。なぜ列車を発車させてしまったかは現在調査中、また、車両に異常があった形跡はなかった旨もあわせて伝えられました。

報道の内容を整理してみると

まず、この日の朝、下り電車の出発が遅れました。これは、ブダペスト発の主要路線の列車が遅れ、そこからの乗継ぎ客を待ったため。

この出発遅れの対応として、通常ダイヤとは違う駅が行き違い駅に指定され、両方の列車の運転手および車掌に書面で指示が伝えられています。

指定の行き違い駅に先に到着したのは、遅れて発車した下り列車のほう。しかし乗客の乗り降りが完了した後、列車を発車させてしまいました。この時点で上り列車のほうは、指示通りの運行で、行き違い駅の一つ前の駅を出発。しかし、単線路線ですから、すれ違いは不可能です。

どちらの列車も正面から別の列車が来るのが見えた時点(250~300m)で非常ブレーキをかけましたが、衝突は避けられなかったということです。ちなみにブラックボックスの解析では、ブレーキをかける前は56および58km/h、衝突時のスピードは23および28km/hだったとのこと。

40人程度の乗客と乗員に死者が無く、また脱線もしなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれません。

直接の原因は明らかだが。。。

もちろん、この事故の最大の原因は下り列車の運転手、すなわちニューマンエラーでしょう。

ただ普通は、そういう事態を想定して、ハード・ソフト両面から多重の安全対策がなされているものなのです。有名な例としては、ATS(自動列車停止装置)などがありますね。

しかし、残念ながら、ハンガリーは安全対策のレベルが低いのです。

例えば、この路線は、鉄道信号を切り替える仕組みが組み込まれていませんでした。駅の信号は、前方に他の列車がいるかどうかは無関係に、最も近い切替ポイントと遮断機のみの状況を示すだけです。

さらに、行き違いに指定された駅は無人駅であり、乗務員と駅員の間で行き違いについて再確認することはできませんでした。

幸か不幸か、いままで事故は発生しませんでした。

なぜ、安全のレベルが低いのか

まじゃるも分析してみました。たぶん、次の3つが典型的なハンガリー人の意見でしょう。

1.「どこが危ないの?」・・・安全について分かっていない。
2.「人にはミスが付き物だけど、実際は事故は起こってないじゃない」・・・あらかじめ手を打っておくことに対する評価が低い。対症療法が優勢な西洋ならでは。
3.「事故が起きる可能性はあるけど、安全対策にもお金がかかるんだよ」・・・コストの問題。

実際に事故が起こってしまったので、MAV(ハンガリー国鉄)は慌てて対策を行うとは思いますが、今後の成り行きを見守っていきたいと思います。でも、鉄道や飛行機は「安全第一」であってほしいです。。。

まじゃるでした。

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